中国報道:中日韓三国の製造業対決。韓国メディアは韓国はサムスンだけではだめと語る。
・中日韓三国の製造業対決。韓国メディアは韓国はサムスンだけではだめと語る。
2012年10月01日 10:33
//tech.ifeng.com/it/detail_2012_10/01/18026075_0.shtml
これまで韓中日三国の構造は明確に分かれていた。日本の専門は高端技術、部品、設備で、韓国と中国はそれぞれ中端、低端技術製品だった。しかし、2008年にアメリカを端緒とする世界金融危機が起こって以来、こうした構造は速やかに競争の構図へと変わった。近いうちに三国は乾坤一掷の全面競争を展開するだろう。もし今後3~5年で、韓国の製造業が有効な対応をとれなければ、韓国は「東北アジア製造業三国志」で唯一の敗北者となるだろう。
・中国は家電等IT製造分野で次々に世界の頂きへと登っている。
通常の場合、組立、部品、材料等をもって順序とする産業化や競争力の拡大はとても困難だ。現在、組立成品分野において、一部物品のほか、韓国は最高の競争力を保持している。しかし過去に組立分野の競争の宝座(註:玉座)が欧洲からアメリカ、日本、韓国へ移ったように、各産業の偏りがかなり大きいとはいえ、これからまた中国へ移る可能性は大いにある。
中国が容易に競争力を高められる分野は、組立の種類が比較的少なく、標準化された種類が比較的多くて、「黑匣子(black box)」的個人技術を必要とせず、生産現場に揣摩领悟(註:研究しよく理解する)知識をあまり必要とせず、台湾と協力できる分野である。この点から見ると、中国が大躍進を実現できる可能性のある分野はIT産業であり、実際にこうした兆候は現れている。
テレビ等IT組立成品製造分野では、現在韓国が最高の競争力を有しているとはいえ、もし工場が所在する国家の生産量をもって輸出統計を精確に行えば、情况は異なるところが出てくるだろう。中国は製靴、繊維等労働力密集型業種だけでなく、先端IT分野においても、2001年よりテレビとエアコンを始めとし、順にパソコン、冷蔵庫(2004年)、DRAMや非存储器(註:非メモリー)の芯片(註:チップ)(2006年)等を含む分野で韓国を抜いた。これからはより高付加価値産業へと進む。この統計データは跨国企业(註:グローバル企業)の中国国内工場で生産された製品も含んでいる。中国にある跨国企业の先端技術工場が、中国の国内企業に先端技術を学ぶ有利な条件を提供。これが正に中国企業が韓国のライバル企業を超える時間を早めた原因の一つである。
コンピュータ産業の情况から見ると、中国は21世紀初めから世界最高の競争力を有しており、占有率においては韓国と日本を超えている。去年世界第二位を占めた联想(註:レノボ)は、今年惠普(HP)を抜き世界第1位になった。この過程で、韓国のコンピュータ企業関連の仕事場は、三星電子とLG電子等の極少数のほかは大部分がみな消失した。
中国企業のテレビ、冷蔵庫、エアコン等家電分野における飛躍は更に注目を浴びている。今年、冷蔵庫とエアコンの全球排名(註:世界ランク)第一の企業はそれぞれ海尔(註:Haier)と格力(註:Gree)だった。中国のテレビの国内市場においては、海信、创维、长虹、TCL 、康佳等中国企業が上位5位を占めた。中国ブランドの跨国企业である海尔が握る研究開発、製品企画、生産、营销(註:マーケティング)能力はほかの跨国企业にも匹敵する。海尔の去年の総売上は233億ドルに達し、每年20%の高い伸びを保っている。
智能手机(註:スマートフォン)、智能电视(註:スマートテレビ)等の機能が絶えず進化する先端技術製品で、中国企業は依然三星電子等の先進企業と一定の差があるとはいえ、中国IT企業の追随速度は驚異的だ。
新世代の核心競争力の要素であるソフト分野で、中国は2001年~2009年の間、年平均30%以上の成長速度を保っている。これは中国政府の重点的投資だけでなく、台湾のチップ企業との協力で韓国と日本との技術的差を縮めたからだ。韓国のソフト専門の人材は2000人余りだが、日本は2万人で、中国の目標は10万人を養成することだ。
鉄鋼、石油化学等の規模集中型産業も、似た状況になる可能性がある。中国が每年生産する7億tの鉄鋼は世界の総生産量の50%に相当し、もし10%の過剰生産量を近隣の国に移せば、韓国と日本の内需市場は重傷を受けるだろう。韓国と日本の年間鉄鋼生産量はそれぞれ6800万tと1億tだ。
・韓国製造業の「空洞化」
中国製造業の競争力及び実力の上昇は、最終的に韓国企業の世界市場における占有率の下降と原材料組立工場の海外移転を招くだろう。もし優勢を占める中国企業が内需市場を平らげてから海外市場に進出すれば、韓国企業はこの局面に対応するため、競争力を高め市場開拓するのに有利な場所へ工場を移さなければならない。その時になると、韓国は「三重の打撃」を受けることになる。即ち国内の仕事場が相対的に減少、関連製品の輸出量も減少、韓国経済の国内総生産(GDP)も縮小する。
こうした情况は次第に現実となりつつある。例えば、韓国企業製造のスマートフォンの海外生産量が占める割合は、2010年の15.9%から今年第一季の79.7%へ激増している。その結果、韓国の携帯輸出額は去年の273億ドルから今年の200億ドルへと、70億ドル以上も減少した。これは、三星電子等の企業が主力工場をベトナムや中国等に移転したからだ。三星電子がスマートフォン分野で苹果(註:アップル)を超え世界トップになったとはいえ、スマートフォン輸出額は減少し続けている。
更に深刻な問題は、こうした現象は更に加速する可能性があるということだ。もし13億の人口を有する巨大市場中国がこれから組立成品競争力を備えたら、世界の企業はみな争うように中国に工場を立て、核心部品供应商(註:サプライヤー)も同じく中国に進出するだろう。三星電子が今月中国西部西安に70億ドルを投資して新世代のチップ工場を建てたのも、こうした動向の一つの側面だ。もしこうしたモデルが繰り返されるなら、韓国国内の製造基地の「空洞化」現象は全国規模に拡大するだろう。韓国製鞋企業が大挙して中国に進出して後、釜山の沙上工業団地の製鞋集群工業団地区が現在は完全に消失しているのと同様に、製造業分野でも「第2、第3の沙上工業団地」が現れるだろう。
・日本:世界最高の技術競争力の地位は纹丝不动(註:びくともしない)
経済危機と競争力の減少により、日本は既に製造業生産基地としての役割を失ったため、海外への生産基地転移が加速している。円高と電力危機もこうした趨勢を助長。そのうち一部は韓国に移転している。日本国際協力銀行は、日本のIT企業の海外生産比率は2008年の43.4%から去年の49.0%に上昇し、2014年までには53.7%になるとしている。
最近、日本では技術漏洩等の問題が懸念される部品、原材料等の核心分野においても、果断に海外移転が進められている。日本の核心企業が海外に進出すれば、日本企業の生産システム再編だけでなく、東北アジアの分業構造の変化も刺激するだろう。しかし日本企業の情况は韓国とは明確に異なる。それは、日本は部品や原材料、設備等の分野で絶対的優勢を有しているからだ。韓国の每年日本企業から70%~80%のチップ設備、50%のディスプレイ設備、30%~40%のディスプレイ部品原材料を輸入している。世界ランキング第一の日本の強い小企業の数は1500社以上に達し、ドイツとともに世界をリードしている。そのうち、京瓷(註:京セラ)(総合電子部品)、日本电产(硬盘驱动器(註:ハードディスクドライブ))、村田製作所(陶瓷电容器(註:ceramic capacitor))等の多くは世界最先端技術を備える企業である。
・製造業新三国志で、韓国は最も不利
現在のこのような「韓中日製造業三国志」の局面において、最も不利な国が韓国だ。
それは韓国が最も小さい国で、また明らかな絶対的優位性を持っていないからだ。韓国が優位を占める部分は、大企業の素早い意思決定により、先发制人(註:先んずれば人を制す)大規模投資を展開し、製造技術を中心とする組立成品分野だ。しかしこうした優位性は、中国等のライバル国の学習によって急速に衰えつつあり、また組立成品分野の競争力も既に頂点に達し、次第に弱くなっている。このほか、韓国組立成品分野の競争力も、わずかに三星等の少数大企業に製品に限られる。
『日本経済新聞』のある調査結果によると、主要50品目のうち、韓国企業がスマートフォン、テレビ等8品目で栄えあるトップだったが、そのうち三星グループが7を占めた。もし三星グループが揺らげば、韓国経済全体も必然的に動揺するだろう。これはとても脆弱な構造である。
中国は13億の人口を有する巨大市場を基礎とし、厖大な「规模经济」の絶対的優勢を利用し、組立成品分野を中心として世界最高の競争力を確保するだろう。そしてこの過程で、中国に進出した跨国企业は中国本土企業に先進技術と経営モデルを伝え、間接的援助を提供するだろう。
世界最高技術を備える日本企業は韓国より遥かに多く、今後産業化に入る分野でも、日本の技術の蓄積は世界第一だ。高附加值部品原材料設備分野を中心とする日本の絶対的優勢は、短期的には動揺しないだろう。
・韓国生き残りの道:競争力を備える世界トップレベルの中小企業を育てること
韓国の生存戦略は何か?結論は、堅実な中小企業が製造業部品、原材料、設備分野を引っ張ることで、新しい增长动力(註:成長エンジン)を現有の增长动力に代えることだ。50年を経て、製造業を主として成長してきた韓国は、サービス産業を主とする国には急に変われない。绿色(註:グリーン)、産業融合分野でも、韓国と发达国家(註:先進国)との差は大きい。
そして韓国の中小企業が新世代の增长动力になるのは難しい。国際競争力を備える韓国中小企業は10社にも満たず、また中小企業は大企業と比べ、生産効率、研究開発、营销等の方面の差も更に広がっている。
容易ではないが、チャンスと可能性は充分だ。それは中国が部品、原材料、設備分野で韓国を抜きたいと思ってもまだしばらくの時間が必要であり、また産業化の過程で蓄積された力がまだあるからだ。中小企業を成長と就業の原動力とするために、韓国政府は過去大企業を育成したように積極的に力と支援を提供すべきだ。そのほか、関連制度と政策を改正し、現状を打破すべきだ。
3000社を超える世界トップレベルの中小企業を育てることは蓝图(註:青写真)を発展させる一つだ。いかなる国も、ただ世界トップレベルの大企業を有するだけで先進国へ発展していない。もし、3000社が難しいなら、少なくとも300社または100社は育てること、これは「燃眉之急(註:焦眉之急)」だ。韓国が組立分野で競争力を培養していた過程で、日本が韓国に部品や原材料、設備を提供したのと同様に、中国が組立分野を発展させるとき、韓国も過去の日本のような働きができる。もしこれが成功すれば、韓国は将来10~20年の增长动力を確保できるだろう。しかしもし失敗すれば情况は楽観できなくなる。
*この記事に対する反応はこちらにて。
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